A.ランゲ&ゾーネは、1990年にドイツ・ザクセン州グラスヒュッテに高級時計産業を復活させた一人の人物を永遠の記憶にとどめるために、世界にただ1本の時計を製作します。スティール製ケースに収められたブラックエナメル仕上げのダイヤル上で、センターセコンドが歯切れ良く1秒1秒を刻むこの時計は、ザクセンの名門時計師一族の偉大な遺産を体現するものです。
2017年1月のジュネーブサロン2日目の朝、ウォルター・ランゲの訃報が会場に届き、時計界は一瞬にして深い悲しみに包まれました。その報は瞬く間に知れわたり、多数のジュネーブサロン来場者が、高級時計産業の先駆者に哀悼の意を表するためにわざわざA.ランゲ&ゾーネの展示ブースを訪れました。ウォルター・ランゲの功績をどのように称えるかと問われたランゲCEOのヴィルヘルム・シュミットは、「ウォルター・ランゲが設立した会社を彼が目指した企業に発展させることが、ウォルター・ランゲへの敬意を表す最善の道だと思います」と答えています。A.ランゲ&ゾーネは、再興の祖の意志と人格を1本の時計に反映させようと考えました。その結果誕生したのが、1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”です。
スティール製ケースにブラックエナメル仕上げのダイヤルを収めた1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”は、世界1本限定モデルです。すなわち、ウォルター・ランゲという人物が2人として存在しないように、この時計も唯一無二の存在なのです。本質的なものだけに絞り込んだクラシックデザイン のダイヤルに、目をこらしてやっと気がつくほどの慎み深さで非凡な技術が組み込まれています。ジャンピングセコンドがそれです。質実剛健を表現したこの特別モデルは、ウォルター・ランゲが理想とした完璧な時計のイメージを具現した時計だと言えるでしょう。
ウォルター・ランゲが好んだ複雑機構の一つが、ジャンピングセコンドでした。この秒針は、純粋な精密時計技法の教えそのものであると同時に、ランゲ家の歴史の1ページでもあるからです。この機構では、テンプ振動数にしたがって秒針を小刻みに進めるのではなく、1秒を1秒として示します。2時位置にあるボタンを押すと、長い秒針が停止したり、動き始めたりします。この機能は、1867年にフェルディナント・アドルフ・ランゲが発明し、長男のリヒャルトが発展させ1877年にドイツ初の特許を取得した技術に着想を得たものです。フェルディナント・アドルフ・ランゲの「ステップ運針式秒単位ムーブメント」を初めて実用化してマイスターピースを製作したのは、次男のエミール、すなわちウォルター・ランゲの祖父です。このムーブメントを搭載した懐中時計は合計300個以上、製作されました。これらの懐中時計には、1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”と同じように、スモールセコンドも付いています。所有者には、ライプツィヒ王立天文台、ルクセンブルク大公アドルフ、エルンスト・アッベ(ドイツ・イエナ市カール・ツァイス社の当時の単独所有者)、英国の一風変わった経歴を持つ時計師ジョン・ベネット卿が名を連ねています。
生涯にわたって伝統工芸技術に熱意を注ぎ続けた一人の稀有な人物への畏敬の念をこめて、この世界1本限定モデルのダイヤルを漆黒の釉薬で焼成し、線路をイメージしたレイルウェイモチーフの分目盛りを描き、針を磨き上げ、往年の懐中時計を彷彿とさせるデザインに仕上げました。新開発されたムーブメントには、ウォルター・ランゲの誕生年にちなむキャリバー番号L1924が刻まれています。さらに、Ref. 297.078の上3桁は、ウォルター・ランゲの誕生日7月29日に由来するものです。
1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”の直径40.5ミリのケースはステンレススティール製です。A.ランゲ&ゾーネのコレクションの中でも、ケースにこの素材が使用されているのは製作数限定の最上級モデル数点だけです。世界1本限定の1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”スティール・エディションと並んで、イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドの各モデルも製作数限定で展開します。スティール・エディションは2018年内に開催されるオークションに出品し、収益金を慈善活動の支援のために寄付することになっています。常に公共の福祉に貢献することを考えていたウォルター・ランゲは、私たちのこの考えをきっと喜んでくれることでしょう。
When time came home – 1815 “Homage to Walter Lange”