1168年、ザクセン地方の山村クリスチャンドルフ(現フライベルク)付近で偶然、銀鉱脈が見つかり、その知らせは「第1次山の呼号」として瞬く間に各地に伝わりました。ドイツでは昔、鉱脈発見の報を「山の呼号」といいました。荒涼としたエルツ山地ににわかに、大勢の鉱山労働者、商人、炭焼き職人、流浪の民たちがやってきました。このシルバーラッシュは、ザクセン地方の数百年にもわたる経済繁栄と、後に繊細かつ精巧な手工芸の発展をもたらす素地となったのです。
「グラーセフッテ」という地名が初めて史料に記載されたのは、1445年のことです。この地名は、美しい透明なガラス(グラーセ)の精錬所(フッテ)に由来します。しかしながら、この山あいの町でも経済発展に大きな意味を持つのは、1490年の銀鉱脈の発見でした。