エンジニアリングと工芸の完成美
ビュランという工具は、平グレーバーによく似ていますが刃先は鋭くとがっています。この特別なビュランは、2012年に発表されたツァイトヴェルク “ハンドヴェルクスクンスト”のダイヤルにトランブラージュ模様を入れるために作られたものです。エングレーバーは、そのビュランをブラックロディウム仕上げのホワイトゴールドの上でさまざまな方向に走らせ、模様を刻んでいきます。この根気の必要な仕上げ装飾が、瞬転数字ディスクを用いたデジタル式時刻表示の技術の妙に華やぎを添えます。
キャリバー L043.4
この30本限定モデルの見どころは、ザクセン式アンクル脱進機と呼ばれる伝統技術に倣って製作された18Kゴールド製のアンクルとガンギ車です。この素材には耐磁性に優れるという長所があります。今日では当たり前のように使用されているこの非磁性合金ですが、19世紀にはまだ存在しませんでした。カバー式のつめ石は、ガンギ車との摩擦を抑えるために、軽く湾曲した形になっています。